枝豆と茄子に続き、夏はズッキーニも美味しい季節です。
ズッキーニ、zucchini、はイタリア語です。イタリアで改良され、全世界に広まった野菜のため、一部の国では、イタリア語名がそのまま定着しています。
しかし、ズッキーニの先祖はかぼちゃです。トマトやコーンと同じように、原産地の中米から、16世紀に欧州に伝わった野菜の一つです。その後の経緯は定かではないのですが、19世紀後半ころに北イタリアで改良されたと言われています。文献初登場はミラノで1901年に刊行された書籍だそうです。
そして、ズッキーニの故郷であるアメリカ大陸に持ち帰ったのは、北米に移民したイタリア人たちだと言われています。1921年ごろ、カリフォルニア州で栽培されていて、1930年代に入るとイタリア移民の多いニューヨークでも気軽に手に入る野菜になっていたそうです。
日本ではズッキーニの歴史が浅く、第2次世界大戦後に一度持ち込まれたものの広まりませんでした。1975年に米国から輸入された「新野菜」として2度目の日本上陸を果たしましたが、普及し始めたのは、1980年代のイタリア料理ブームの頃からと言われています。現在では、日本でも栽培され、どこのスーパーでも売られるようになりました。1991年に初めて私が日本に来た時とは隔世の感があります。当時は、日本のスーパーでズッキニが一本一本丁寧に包まれて、イタリアだったら山盛り買える値段で売られていたのを驚いたことをよく覚えています。
実はズッキニというのはかぼちゃの未成熟の果実で、イタリアで果実の先に咲く花まで食べます。しかし、日本では残念ながらその花が店頭に置かれることなく捨てられてしまいます・・・
5月になると、ズッキーニの花が並ぶイタリアの市場。
リコッタでつめてカラッと揚げると絶品!オーブン焼きも美味しい!パスタにだって!
いうまでもなく、イタリア各地域において独自のズッキーニがあり、その数は15種類ほどありますが、日本で一番見かけるのは皮が濃い緑の色をするタイプ。これはイタリアで「ミラノ種」と呼ばれています。小ぶりの方は甘みがつまっていて美味しいので、店で選ぶ時、大きなものを選び、サイズで得したという気分に負けないようにしてください。
ちなみに、zucchiniはzucchinoの男性系複数形名詞ですが、イタリア語では女性系のzucchina ズッキーナ(複数形はzucchine ズッキーネ)も同じぐらいの頻度で使われています。
元はかぼちゃの名称 「zucca ズッカ」からであり、意味的には「小さなかぼちゃ」です。
さて、イタリアではズッキーニの調理方法だけで数冊の料理本が出せるほどありますが、今回は、少ない食材でズッキーニの本来の甘みを楽しめるレシピをご紹介します。誰でも簡単に作れるシンプルで美味しいパスタです。
ズッキーニをサイコロや厚めのスティックに切って歯ごたえを残すレシピが多いですが、このレシピでは、ブレンダーを使わずに、ズッキーニを美味しいクリーム状態に仕上げます。
使うパスタは何でもいいのですが、個人的にリングイーネが最高に合うと思います。フジッリでも作ってみてください。
◎食材 2人前
・リングイーネ 140gr
・ズッキーニ 2本
・バジル 小さな枝1本(葉っぱと茎丸ごと使う)
・パセリ 適量
・パルミジャーノ・レッジャーノ(粉末) 適量
・ニンニク 1片
・エキストラバージン・オリーブ・オイル(以下、EVO)
・黒胡椒
・塩
①おろしを使ってズッキーニを細かく切る。
※上記のような目の大きいおろしは、最近百均でも手に入れるよ(写真のものはイタリアから持ってきたけど)。
②フライパンにEVOを引いて、つぶしたニンニクとバジルを入れてから弱火で加熱する。
③ニンニクとバジルの香りがある程度油に移ったら、ズッキーニをフライパンに投入。
油になじませてから、塩と胡椒をかけて、ふたをして、時々混ぜながら中火で5~8分ほど炒める。
少し焦げがつくのが目標!
④必須ではないが、トッピングに炒めた生ハムを載せると美味しい。
スライスして少々のEVOで1~2分炒めたら出来上がり。
⑤フライパンからニンニクとバジルの茎を取り出す。
リングイーネは茹で上がり時間より2~3分ぐらい前に鍋から取り出してフライパンに投入。細かく切ったパセリ(少々でいい)も加えてソースと良く絡ませる。そして、火を止めて、フライパンをコンロから降ろして、混ぜながら粉チーズとパスタのゆで汁を繰り返し少しづつ足したら、美味しいクリームができる。
※フライパンの温度は高すぎるとチーズが早く溶けて塊ができてしまうので、ここでの温度管理は大切!
最後はこんな感じ!
⑥お皿に盛りつける際、細かく切ったパセリ、EVO、胡椒、パリッと炒めた生ハム、チーズをかけたら出来上がり。
Buon appetito!